お知らせ/おおるりペットクリニック〜犬・猫・ウサギ・小鳥の動物病院/栃木県矢板市

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加計学園問題について

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    最近、加計学園の獣医学部設置に関する、政府の責任者達の無責任な発言には、あきれるばかりです。しかしながら、どのように決着しても、最終的に責任を取らされるのは我々国民ですから、今後の獣医療について問題点を整理しておくことは、新規獣医学部設置の問題が、少しでも良い方向で解決されるために重要なことと思います。最近、私が小動物臨床を学んだ、ダクタリ動物病院の総合院長の加藤 元先生が、上記問題点をわかりやすく書かれたので、先生の許可を取ったうえで、ここに、引用させていただきます。現在の獣医師教育を今後どのように改革していくべきかについて、異論もあることは承知しておりますが、急速に進歩しているライフサイエンスと獣医療を考えるとき、現在の獣医学部が今のままで良い筈はなく、もっとお金と資源を投入し、現在よりはるかに、充実した教育と研究の環境を作り上げなくてはならないと、私個人としても思っています。そして私たちの現場の動物病院まで、その成果が還元されることを願ってます。

     

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    2017-07-19
    加計学園 獣医学部・獣医学科 問題
    〜 報道されない真の問題とは 〜


    北海道大学大学院獣医学研究科 客員教授
    コロラド州立獣医科大学 客員教授/日米親善大使
    ダクタリ動物病院 総合院長
    加計学園 千葉科学大学 客員教授
    加藤 元


    昨今、テレビ・新聞などメディアで取り上げられない日はない、加計学園の獣医学部・獣医学科新設の問題。
    加計学園関係者をはじめ、愛媛県今治市や京都府などの自治体、そして文科省や内閣府、さらには、安倍首相まで関与しないわけにはいかない、非常に大きな問題に発展している。
    実は、私も、加計学園の客員教授を務めている。以前から、それこそ獣医科のある大学の新設が決まる前から、学園関係者にさまざまなアドバイスをさせてもらってきた。私は誰よりも日本の大学とアメリカの獣医科大学の表と裏、さらに日本の獣医学・獣医療をよく知る立場として、いかにしていわゆる岩盤規制を突破するとか、いかに政治力を使うか等ということは一切関係のない、純粋にアメリカの獣医科大学の基準(後で述べるAVMAスタンダード)について、つまり本当の意味での獣医科大学のためのAVMAスタンダードと、新しい大学を作るのであれば、まだ日本にはない、AVMAスタンダードのすべてをクリアした、真の獣医科大学を作るのでなければ意味がないということを千葉科学大学(加計学園)のキーパーソン4、5名にプレゼンテーションの形で話したことを思い出す。
    そんな私が今回の騒動に思うこと、また長年、なによりも日本の獣医学・獣医療の発展に力を尽くしてきた獣医師の一人として、黙っているわけにはいかず、いささか出すぎではあるが、意見を述べてみたい。
    ●今回の流れ
    そもそも獣医師を作る獣医科のある大学は、日本にはすでに16校あり、今治で17校目となる。この数についてはあとで述べるとして、日本ではこの52年間、獣医学科の新設と定員の増加が認められてこなかったのは事実であるが、その中でなぜ今治市・加計学園が、突然、このような過程で設立認可と定員増加が決定されたのか、それが私にも理解できなかった。
    長らく認められてこなかったのは、獣医科のある大学の許認可権を持つのは「文科省」であり、その文科省が「地域差はあるが、全体としてこの小さい日本(カルフォルニア州とほぼ同面積)にすでに16校があり、獣医師の数は、全体では足りており、獣医学科新設の必要はない。」という姿勢(事実その通りで、日本の全大学や日本獣医師会は現状を肯定せざるをえないが)のもとに認めてこなかったのである。この「16校・定員930人」という数字が適切かどうかは別として、いわゆる規制緩和を望む者にとって、これは「岩盤規制」と呼ばざるをえなかったことは間違いない。


    ここでまず、日本獣医師会および獣医学会と、アメリカの獣医学会よび獣医師会の差に触れておく。組織の名前は、特に英語にすれば同じであるが、その中身は全く異なる。アメリカの場合は、獣医師会の全員の一人一人が同じ権利義務を持つ、「個人会員」から成り立っているのに対し、日本では、「都道府県単位の獣医師会」が連合会を作っているのにすぎない。また、日本では獣医学会と日本獣医師会は別物であるが、アメリカでは。全米獣医学会=全米獣医師会なのである。
    話を戻し、政府は(地域差はあるが)、獣医師は足りている、という認識ではあるものの、獣医師を作れる獣医学科は、人気の学科の一つであることから、大学の目玉として、また学生確保のため、学科新設を望む学校や自治体も多くあった。その中の一つが、岡山県に本拠地を置く「加計学園」だ。
    加計学園の初代理事長は、獣医学科新設を熱望しており、息子である現理事長は、長い間力を尽くしてきたが、このいわゆる「岩盤規制」にもがいていた。そして、愛媛県今治市は、少子高齢化や経済の衰退に悩んでいた。地方自治体にとって、少子高齢化や人口減少に対処することは、最優先すべき重要な問題であり、その解決策の一つとして大学新設というのは、珍しい話ではない。実際、私が客員教授を務める千葉科学大学(加計学園系列)もそうであり、ここでも獣医科を作ろうとしていた努力のあとがよくわかった。今治市も2007年から10数回にわたり、大学新設を陳情していたという。
    しかし規制の壁は高く、ようやく、鳩山内閣の時に、「2010年度中をめどに速やかに検討する」、というところまでこぎつけた。しかし、それからも数年間、政党が変わっても、長らく膠着状態が続いていたが、安倍内閣が規制改革の一環として、「国家戦略特区」を導入したのち、流れが一変した。そして、2015年12月、安倍首相が自ら議長を務める国家戦略特別区諮問会議にて、ついに今治市(を含む区域)が、全国で10番目の国家戦略特区の認定を受け、加計学園&今治市は、やっと悲願の獣医学部新設にこぎつけたのだ。しかし、実はこの間、申請を検討していたのは、加計学園&今治市だけではなかった。ではなぜ、加計学園&今治市に決まったのか? そこになんらかの「官邸の(総理の)意向」があったのではないか、ということが、今、大きな問題になっているのである。つまり国家権力レベルでの「不公平」である。
    これは国家レベルでの決定事項と、地方自治体による、つまり今治市の決定事項を、時系列に従って具体的に並べ、何がいつ、どのように決定されたのかをよく見てみれば、その問題点を客観的に指摘することができ、誰でも簡単に事実を知ることができる。

    ●新たな獣医学科は必要か?
    さて、ここからが本題である。
    そもそも、「新たな獣医学科」は必要なのか?という根本的な問題である。日本には獣医師を作る獣医科のある大学は、16校あると先に述べたが、実はこの数は、はっきり言って「多すぎる」のである。この間、獣医科大学の数を減らすための合併が、具体化しかけた(国立一次校である九州大学はその中心のひとつであった)が、要であり、当事者である国立二次校の東大OBの教授先生方の反対にあい、世の中は、肝心の獣医師達が抱える問題の真相を知ることもなく、今日を迎えているのである。
    世界の獣医学・獣医療の最先端をいくのは、アメリカである。日本とほぼ同じ面積のカリフォルニア州(人口は日本の約4分の一)をみると、獣医科のある大学はわずか2校(ごく最近まで、カルフォルニア州立獣医科大学1校)のみである。日本は16もの大学がひしめいており、そこへさらに、もう1校増えようとしているのだ。
    むろんすべてレベルの高い大学ばかりであれば、異論はない。しかしながら、日本の獣医学科の実情は、アメリカとは比べ物にならないほど遅れているという事実を、政治家、行政、大学、大学教授、関係者を含め、いったいどのくらいの人が認識しているのであろうか。おそらく、現役の獣医師でさえも、よく分かっていない人が多いだろう。
    獣医学における数多くの優秀な人材が、世界中の各国からからアメリカに渡り、厳しい教育と訓練を受けた上で、厳しい試験に合格し、臨床獣医学各科の自他共に認める専門医(Diplomate)が、各自の母国(ヨーロッパ)に戻った後、英国、オーストラリア、ニュージーランドを中心に、国境を越え、獣医科のある大学が、臨床各科の、AVMAレベル(後述)での専門医集団を目指すことができたことから、世界中の獣医科のある大学も、臨床各科の、AVMAレベルでの専門医集団を目指そうと、急速に変化してきた。(日本も含め、アジアでも同様の動きが始まっている。)
    本来、日本もそのような変身をとげなくてはならないのだが、真のリーダーであるべき日本の獣医学会、獣医師会が真の個人会員制ではないために、全関係者達が、日本が大きく遅れているという認識がないだけでなく、そのようなオープンでフェアな、専門医を育成するシステムを持っていないということに、危機感すら持たず、本来、対処すべきことを反映した獣医学科のある大学の運営ができていない、というところに問題があるのである。
    先に何度か述べたが、アメリカでは、AVMA(全米獣医学会/獣医師会)という組織があり、「AVMAスタンダード」と呼ばれる厳しい基準を設けて、国内外(アメリカ、カナダ、オランダでは、獣医学教育制度は国境がなく、同一のスタンダード)の獣医科大学の認定を行っている。日本で、この基準をクリアしている大学は皆無、ゼロである。


    設置基準の一つを挙げてみると、羊、ヤギ、馬、乳牛、肉用牛、豚、犬、猫、家禽、その他動物が、十分な数がいる環境でないと、獣医師を育成する獣医科大学の設置は認められない。また、学生一人につき、常勤の教授陣が1.2倍以上でなければならない。また、動物教育病院、獣医教育病院そのものが、大学であり、臨床学科ごとに、AVMAスタンダードを満たす専門医が揃っていなければならない。全獣医学大学では、医科救急救命・重篤患者の24時間看護が必要・義務化されており、すべての学生は最低4週間の泊まり込み実習で、救急救命と重篤患者の診断・治療・看護について、徹底的に実学を学ぶことが必須である。
    ちなみに臨床各科以外で、獣医師が最も多く所属する公的機関は軍隊であり、軍隊の公衆衛生、食品衛生はすべて獣医師がその長である。
    ●獣医師は不足しているのか?
    日本では獣医師の不足が叫ばれているが、同時に動物病院はすでに飽和状態だとも言われている。獣医師は多過ぎなのか、それとも足りないのか?
    毎年、国家試験を受けて、獣医師免許を取得するのは約1000人。だが、免許を得たこの1000人の内、すべてが臨床の現場を目指すのではない。約4割がフードや薬品、医療機器などの企業、2割が公務員、そして残りの4割が臨床医、大動物と小動物(動物病院勤務)となる。しかし、この4割、約400人のほとんどが、関東での就職を希望しているのが現状なのだ。つまり都心では、動物病院は飽和状態であるが、地方では獣医師不足だと言える。
    では大学を増やして、獣医師を増やせばいいのか?いや、問題はそこではない。仮に今の倍の2000人になっても状況は変わらないだろう。
    それはなぜか。その答えは公務員としての獣医師の待遇に問題があるということだ。率直に言えば給与が低いのだ。特に地方の動物病院など、せっかく6年制の大学を出て、国家資格を得たにも関わらず、それに見合った給与とは程遠いのが現実である。同じく深刻に不足だと言われている地方公務員の獣医師にいたっては、仕事は激務のうえ、労働条件も悪く、もっと悲惨な状況だ。
    臨床に話を戻すが、現場での獣医師の在り方にも問題がある。アメリカをはじめとする先進国では、獣医師は監督者という立場であり、現場の実務はいわゆるベテリナリー・テクニシャン(獣医技術師)が担当している。にも関わらず、日本ではそれらすべてを獣医師が担当しているため、仕事がこなせず、獣医師が足りないという事態に陥っているのである。また給与面においても、先進国の獣医師は、監督者という立場のため高給であるが、日本ではこのような理由で獣医師は所得が低いため、なり手が少ないわけである。このように単純に大学を増やしても、なんの解決にもならないということが分かってもらえると考える。
    さて、先に述べたように、日本の16校の中に、AVMAスタンダードで認定されている大学は「0」である。そもそも学生の選抜方式からして、日本とは根本的に異なっている。具体的に

    言えば、アメリカでは理系の医学、獣医学(バイオメディカルサイエンス)を理解するのに必要な単位をすべて取得し、理系の大学を卒業して、始めて、獣医科大学への受験資格を得るのである。(獣医師、医師、歯科医師すべて同様。) つまりアメリカのすべての獣医科大学(医科大学、歯科大学)は、実質的な大学院大学なのである。今の日本の受験方式、つまり高校から成績さえよければ、偏差値さえ高ければ、高校からいきなり医師や獣医師、歯科医師になれるような仕組みは、どこの先進国にも見られない。後進国だけである。
    これらのことから分かるように、医学・医療、獣医学・獣医療、歯医学・歯医療において、日本は「後進国」なのである。
    ちなみに日本の国立大学で獣医学科は農学部の一部であり、学問として農学から独立していないということをご存じだろうか。つまり、一般的に言う「獣医学部」「獣医学科」とは、正確に言うと「農学部」の中におかれ、国公立では北大が唯一、農学部から独立した「獣医学科」を持つ以外は、東大など、その他の国立二次校の獣医学科はすべて農学部の一部にすぎないのである。
    大学や政治家、地方自治体は獣医学部を新設しようとしているが、私に言わせると自分達のエゴばかりで、まったく本末転倒なのである。本当に獣医学・獣医療を利用する国民の立場にたって考えるのなら、獣医師のレベルアップ、つまり量ではなく、「生産性」と「質」を重視すべきなのである。
    それにはどうしたらよいのか?大学を新しく作るのではなく、例えば16校の大学を4分の一に減らす。それは小学生でもわかるはず。各大学の予算は4倍になる、マンパワー(教授陣)も4倍になる。それだけでも現状に大きな風穴をあけられるだろう。
    ●本当に必要なことは何か?
    私も、他の日本の臨床医と同様に 日本の獣医学・獣医療の発展のために心血を注いできた。今の獣医学・獣医療に必要なのは、単に獣医師の数を増やすのではなく、「プロフェッショナルな獣医師が、安心して任せることができるオープンでフェアな、各科の優秀な専門医」を育てることが最重要だと考えている。
    そこで、先日、母校である北大の獣医学部と、長年世話になったコロラド州立大学の両者のために「加藤元基金」を立ち上げた。そしてまた、アメリカの獣医科大学の中でも、最高峰の一つといわれるコロラド州立大学(CSU)と、北大とのパートナーシップ協定を実現させたばかりである。それさえも、当初は不可能であるとさんざん言われてきたが、私は「獣医療とはなんのためにあるのか、誰のためのものなのか」を常に考え、机上の空論ではなく、アメリカの制度と、日本の現状を科学的に分析し、確信を持って推し進めているのである。
    今回の加計学園の獣医学部新設問題は、このように何から何まですべてがデタラメである。また、最近のメディアはワイドショー的な面ばかり取り上げ、肝心の獣医学・獣医療業界が抱える問題の解決などすっかりないがしろになってしまった。


    皆さんには目に見える(報道されている)問題だけに振り回されることなく、報道されない「現実」を知っていただきたい。そうすれば、今、日本の獣医学・獣医療に、産業動物、野生動物、ペット動物のすべてを大切にする利用者にとって、本当に必要なことはなんなのかが明確にお分かりいただけるだろう。

     

     


    エボラ出血熱とペットの関係についての情報

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      最近、ニュース等でも報道されていますが、エボラ出血熱は遠い地域の話ではなくなってきています。いつ我が国に入ってきても不思議ではありません。そこで、身近な話題となっているエボラ出血熱について、ペットとの関係について記載した資料が、アメリカのウェブサイトにありましたので、ご紹介いたします。ただし、専門的すぎる部分については部分的に省略しました。ペットとエボラウィルスとの関係については不明の部分が多いことは、以下の資料でもよく分かりますが、エボラウィルスを使った感染実験を行うこと自体、通常、特に日本ではほとんど不可能と思われ、したがって、情報は、流行地における疫学的研究に基づくものが主要なものとなることも理解できます。現地の研究者の粘り強い研究に敬意を払って、その成果を期待したいと思います。今後、日本がエボラウィルスの疫学的研究の中心地にならないようにする為にも、エボラ出血熱に対する正しい知識を身に着けていくことが必要と思います。
       
      エボラウィルス流行に関する獣医学的検討
      By Radford Davis, DVM, MPH, DACVPM and J. Scott Weese, DVM, DACVIM
       
      Q&A
      Q:エボラウィルス病はどういうものですか?
      A:エボラウィルス病はエボラ出血熱としても知られています。エボラウィルス病は、ヒトおよびヒト以外の霊長類と家畜類(例えば、豚)に対するの非常に伝染力の強い疾病です。ヒトに対しては、感染したヒトあるいは動物の血液、体液および分泌物を介して、また、食用に狩猟した野生動物を扱うことにより感染します。原因ウィルスは、フィロウィルス科のエボラウィルス属として分類されています。フィロウィルスは繊維状の外被を有するウィルスで、約19キロベースのマイナス鎖RNAを持っています。エボラウィルス属には5種類のウィルスが含まれ、それらの中で、ザイールエボラウィルスとスーダンエボラウィルスは強毒種として知られ、ヒトで高い死亡率(53-90%)を示します。
       
      Q:エボラウィルスは、どんな動物から放出されますか?
      A:アフリカでの野外調査および疫学的研究から、フルーツコウモリが広範囲でエボラウィルスに対する抗体を有していることが明らかにされたことから、フルーツコウモリがエボラウィルスの自然宿主であろうと考えられています。コウモリおよびその他の脊椎動物に実験的にエボラウィルスを感染させると、コウモリだけが感染後、臨床症状を示すことなく糞中にウィルスを放出しました。サルは、ウィルスに対する高い感受性と、感染後の高い死亡率から、自然宿主とは考えられていません。哺乳類のみ(例えば、ヒト、コウモリ、サル、霊長類)が、エボラウィルスに感染し、ウィルスを放出しました。
       エボラウィルス病の疫学における豚の役割は良くわかっていません。ザイールエボラウィルスに感染した豚は、軽度の臨床症状を示し、ヒト以外の霊長類にウィルスを伝染させることができました(Weingartl et. al 2012)。野外研究が実施されていないため、家畜がヒトへのウィルスの伝搬に積極的な疫学的役割を果たしているかどうかについては、まだ、明らかになっていません。
       
      Q:ペットはエボラウィルスに感染しますか?
      A:2005年の研究によると、アフリカで、ザイールエボラウィルスの流行地の近隣または遠隔地で捕獲された犬では、ザイールエボラウィルスに対する抗体陽性率が増加していることが明らかになりました。即ち、流行地に近いほどザイールエボラウィルスに対する抗体陽性率が増加していましたが、ウィルスのRNART-PCRによる)およびウィルス抗原(ウィルス分離)のどちらも検出することができませんでした。そこで、著者らは、ザイールエボラウィルスは犬に免疫応答を誘導することはできるが、犬がウィルスを放出するかどうかは明らかにできなかったと結論しています。
       エボラウィルスの感染実験では、モルモット、ヤギ、馬は、無症状あるいは軽度の臨床症状を示すが、自然界では、これらの動物でエボラウィルス感染が観察されることはありませんでした。
       
      Q:ペットはエボラウィルスをヒトまたは他の動物に伝染させますか?
      A:イヌを含む家畜がエボラウィルスをヒトや他の動物に伝染させたという証拠はありません。流行の起源が不明な地域での伝染について、イヌの関与を疑っている研究者もいますが、これらの流行については、記録文書が少なく、不完全あるいは不正確な地域で起こっています。したがって、このような説は、せいぜい仮説の域をでません。また、野外における潜在的なイヌの感染についての、しっかりした研究は実際上存在していません。
       
      Q:イヌはエボラウィルスの無症状のキャリアーになるでしょうか?
      A:現在のところイヌがエボラウィルスを保持し、放出するかどうかについてデータがありません。イヌからウィルスが分離されたことは、これまでありません。
       

      Q:どのくらいの期間、イヌはエボラウィルスに感染していますか?
      A:イヌがエボラウィルスに感染するという証拠がないため、感染期間(ウィルスの増殖および放出を含む)を推定することはできません。
       
      Q:エボラウィルスは飛沫で伝染しますか?
      A:エボラウィルスが飛沫、水または食物を介して伝染するという証拠はありません。2つの別々の試験研究があり、1つはサルで、もう一つはブタとサルでの研究ですが、その中で、著者達は、空気感染の可能性を考えています。しかしながら、この経路の感染は確認されておらず、またその他の感染経路も除外されていませんでした。
       
      Q:エボラ患者の家のペットはどうすれば良いのでしょうか?
      A:CDC(Center for Disease Control and Prevention:アメリカ疾病予防管理センター)では、担当官が獣医師の協力下で、ペットに対するウィルス暴露の危険性(エボラ感染者の血液または体液への接触あるいは暴露)について評価することを推奨しています。この評価のみならず個々の状況に基づいて、地域およびその州のヒトおよび動物の衛生担当者は、ペットをどのように取り扱うかを決定します。現在のところ、テキサスで感染看護師に接触したイヌは、使用しなくなった軍の基地内で隔離されています。エボラ患者あるいはエボラ患者と接触したヒトの動物を担当する獣医師は、その対策について州の保健局へ問いあわせなくてはなりません。
       
      Q:被毛を含む介在物による伝染に関する証拠はありますか?また、ウィルスの生存期間はどのくらいですか?
      A:ウィルスが犬の被毛または唾液で伝染するとういう証拠はありませんが、介在物による伝染があるかもしれないといういくつかの証拠があります。したがって、CDCは、最も慎重な対策として、エボラウィルスに接触あるいは感染したヒトからペットを隔離するように指導しています。
       
      Q:エボラウィルスは自然環境のなかで生存できるでしょうか?
      A:エボラウィルスは外被を有するウィルスであるため、乾燥、洗剤および消毒剤に対して感受性があります。ウィルスは環境の中では長時間(日、週ではなく時間単位で)生存できず、様々な消毒剤により不活化することができます。CDCによると、伝染に対する環境の役割は明確になっていません。好適条件下での試験研究では、エボラウィルスは固体表面で生存可能であり、数日の間で、徐々に減少していました。流行地の患者の看護現場における汚染を評価した研究が1つあり、血液が目視できない部分から集められた33個のサンプルのいずれからも、ウィルスは検出されませんでした。エボラウィルスの伝染については、現場環境あるいは患者の看護に由来する汚染物(ベッドのレール、ドアノブ、洗濯機等)を介しての伝染を示す疫学的証拠はありません。しかしながら、明らかに少量による感染、患者血液の潜在的高力価ウィルスおよび疾患の重篤性を考慮すると、患者の看護現場における汚染により生ずる潜在的危険性を抑えるためには、高レベルの予防措置が必要です。
       

      根拠に基づく医療

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        基本的には、病気も自然現象の一つです。したがって、病気を治療することは、必然的に自然現象と向き合うことになります。生体のメカニズムについても、現在、世界で何万人もの研究者が、生命科学の研究に携わり、日々、膨大な研究成果が報告されていますが、研究のテーマは尽きることがありません。したがって、病気に関しても、現時点で、分からない部分が山のように存在することは致し方ないところです。そのことは、治療法に関しても、絶対的に正しい治療法は未知であることを示しています。しかしながら、実際に病気の人や動物には、治療が必要です。私たち獣医師にできることは、現時点で最適な治療法を学ぶことしかありません。最適な治療法を見つけるために、現在、広く用いられている手法に「Evidence Based Medicine(根拠に基づく治療)」があります。その中で最も信頼性の高い根拠は、2重盲検試験の結果とされています。2重盲検試験は医薬品の評価に使われる評価法で、簡単に言うと、投薬する医者も、投薬される患者も薬剤名を知らされないで試験が実施されるもので、薬の効果を客観的に評価できるものとされています。近年承認された医薬品はほとんど2重盲検試験をパスしているはずです。薬以外の治療法に関しては、2重盲検試験は困難なことが多いですが、それでも、できるだけ客観的なデータを評価することは必要で、少なくとも統計学的評価が可能となるようなデータ数を揃えることが必要です。このように、治療法は、1つずつ客観的データを積み上げながら進歩していくものであり、それによって、有用性の高い治療法が開発されていきます。当院でも、治療法の進歩に遅れないように、日々努力しているところです。私は、客観的根拠に基づいた治療法の進歩こそが、科学的に信頼に足るものであると信じていますが、欠点は、未知の部分が多い自然現象が相手であるため、説明そのものが、歯切れが悪く、どうしても曖昧な部分が残ります。したがって、特に未知の部分が多い難しい病気については、飼い主の皆様に対しても明快な説明が難しくなってしまいます。裏を返せば、余りに明快で、断定的な説明は、科学的根拠が乏しい可能性大ということになります。当院でも、なるべく分かりやすい説明を心がけておりますが、不明瞭なことについては遠慮なく質問していただければ大変助かります。


        犬が好きか、猫が好きか

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          「あなたは犬好きですか、それとも猫好きですか。」というようなことをよく尋ねられたことがあります。実際両方好きなので、答えに窮するのですが、両方とも好きといっても、両者には明らかに大きな違いがあります。犬の魅力は、ご存じの如く、飼い主との太い絆とそれに基づく豊かな関係性とでも言いましょうか、付き合っているうちに、相手が犬であることを忘れるような、パーソナルな関係が出来上がることでしょう。その土台にあるのは、群生活者としての犬の精神構造と同じく群生活者としての人間の精神構造の類似性だと思いますが、それだけに躾方を間違えると、厄介な問題を引き起こすことにもなります。躾に自信のない方は、最初は子犬ではなく、良く躾けられ、性格の良い、おとなの犬を飼うのも一つの方法だと思います。一方、猫の魅力は、犬に比べ、そのゆるーい関係性にあるように思います。スリスリゴロニャンしたかと思うとちょっと離れて毛づくろいを始めたり、かなり気ままですが、そこがまた可愛いところです。心は通じ合うけれども、こちらに犬ほどには気持ちのエネルギーを要求しない。というわけで、犬と猫それぞれに対する関係性の違いを一言でいえば、「犬は子供、猫は孫」ではないかと感じています。
           

          定期健診中の血液検査

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            病院の待合室でよく「定期的に健康診断をしましょう」と書いてあるのを見かけますが、その中には必ずと言って良いほど血液検査が入っています。では、血液検査はなぜ大切なのか、また血液検査で何がわかるのでしょうか。そこで今回は、血液検査について考えてみたいと思います。

            一口に血液検査といっても、その中には多くの項目があり、それらを測定することによって、肝臓や腎臓などの内臓の状態や、貧血や全身性の炎症があるかどうか等がわかります。例えば、肝臓が悪くなると、食欲低下や吐き気、腎臓が悪くなると、飲水量や尿の増加などの症状が出てきます。これらの症状は、ある程度病気が進行してから出てくるため、これらの症状に気付いた時には、病気はかなり進行しています。では病気を早期発見するためにはどうすれば良いのでしょうか? 答えは定期健診です。中でも血液中には様々な病気のサインが早期に出てくることが多く、そのことが、血液検査が病気の早期発見には欠くことのできない検査となっている理由です。動物たちは人と比べて年を取るのが速く、犬や猫は人の4倍、ウサギは7倍の速さで歳をとっていきます。それだけ体調の変化、病気の進行も速いので、病気の早期発見のためには、人以上に定期的な健康チェックが大切です。


            矢板市の放射能汚染

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              最近の矢板市の放射能汚染はどうなのか、市と県のHPで調べてみると飲み水は今のところ大丈夫のようですし、空中線量もそれほど高くないということで、ひとまずは安心。では2年前に降ってきた放射性物質はどこへ行ったのか。雨水とともに、川となり海へ流れて行ったのか、地下に潜ったのか、吹き溜まりの如くどこかに溜まっているのか、放射能が通常の環境中で時間以外の要素によって消滅することはないので、しっかり調べて公表して欲しいものです。放射性物質の長所は、追跡が容易であることなので、やれば出来ることと思います。我が国には、環境放射線を研究している研究者も少なくないので、すでに研究は進行中と期待しているところです。私たちが日常使用している薬も、投与されてから排泄されるまでの経路は、放射線を出すように標識した薬を使用して、詳しく調べられています。薬はそのようなデータに基づいて、適切に使用できるようになっています。環境中の放射性物質についても、今何処に存在し、将来何処へ行くのかが明らかになれば、余計な不安を懐くことなく、それなりに安全に生活するための対策が見えてくるものと思います。


              狂犬病予防接種

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                昨日、矢板市の春季狂犬病予防ワクチン集合注射が無事終了しました。私は、21日(日)のみの参加でしたが、朝から雨で、この季節としてはとても寒い中での予防注射となりました。今日は集まらないのではないかと心配していましたが、結果は三日間合計で注射頭数559、新規登録数15で、昨年並みでした。悪条件にも関わらず、予防注射に訪れていただいた飼い主の皆さんのご協力に感謝しています。まだ、予防注射を済ませていないワンちゃん達も動物病院では年中ワクチン接種が可能ですので、是非接種をお願いします。現在、狂犬病ワクチンの接種率は、矢板市の場合、毎年60%台で推移しています。これでは日本に狂犬病が侵入してきたときに、病気が広がる危険性があります。狂犬病に限らず、予防接種によって防げる病気は、しっかり予防することが大切です。地震等、何が起こるかわからない世の中ですが、何事も備えあれば憂いなしということだと思います。


                野ウサギその後

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                   昨年このブログで紹介させていただいた野ウサギが年末に一時当院へ里帰りしました。





                  立派に成長し、体重も2.1kgになりました。
                  スリムで長い手足と大きな耳、顔も精悍です。まさに「ワイルドだぜえ」。
                  これなら、野山に帰っても、キツネや野犬の餌食になることは無いと期待できそうですが、
                  精神面が少し心配です。

                  謹賀新年

                  0
                     

                    新年、明けましておめでとうございます。

                    本年も動物医療に全力で取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


                    保護された野ウサギの子

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                      今年の8月下旬に一匹の野ウサギの子供が保護され、当院に連れてこられました。工場内に迷い込んだとのことで、親を探すこともできず、このままでは死んでしまうので、自然復帰ができるまで、必要な手続きを行った後、当院と栃木県県民の森で飼育することになりました。保護された時の体重は98gで生後約3週間と推定し、点滴と保温の後、ミルクで飼育を開始しました。保護された子ウサギは途中で死んでしまうことが多いのですが、今回はすくすくと育ち、1か月で558g、1.5ヵ月で900gまで成長しました。この時点で完全に離乳し、通常のウサギの食事が可能となりました。このまま順調に育てば、来年の春には山に返すことが可能と思われます。

                      保護2日目
                      保護されて2日目 体重106g

                      保護8日目


                      保護されて8日目 体重150g

                      保護12日目
                      保護されて12日目 体重180g


                      保護15日目
                      保護されて15日目 体重210g

                      保護45日目

                      保護されて45日目 体重800g

                      保護49日目

                      保護されて49日目 体重960g

                      傷病野生鳥獣の保護に関しては、様々な意見があることは皆さんもご存じと思いますが、私の個人的な意見は、「積極的に推奨はしないが、保護したものについては対応する。」というものです。厳しい自然界において、負傷したり、病気になった野生鳥獣にとって、心優しい人に保護されることは、宝くじに当たったようなものです。それを、本来の野生のあるべき姿ではないという理由で取り上げるのは、ちょっと理不尽な気がします。


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